【コラム】DP~BW構築で何が変わらなかったか?〈3〉
2011年1月16日コメント (6)(第1回:http://sipcup.diarynote.jp/201101132311456881/
第2回:http://sipcup.diarynote.jp/201101151402365818/)
前々回、そして前回とクリーチャーズによるコラムを読み込んできて、次のことがわかりました。
クリーチャーズによるコラムは、あんまり読み手に優しくない。
ではなく。
ポケカのデッキ構築において一番重要なのは「カードを引くためのトレーナーズ」である、と。そして「カードを引くためのトレーナーズ」は、初手に引かなければならない。今回の問題はその先です。
サンプルデッキ中の10枚や12枚といった枚数では、ちゃんと初手に引くことができるんだろうか? そもそも「カードを引くためのトレーナーズ」は、何枚入れておけば「初手」に引けるんだろうか?
前回の最後では、その計算のために確率を使うことを予告しました。頭の痛くなる話です。他に方法はないんでしょうか。……たぶん、あったらクリーチャーズのコラムが紹介してくれることでしょう。
今回は話の真ん中はすっ飛ばしてもらってかまいません。結論部分さえあれば、次回のコラムにちゃんと続きます。
さて、話を始める前に、まずは問題点を整理しましょう。確率を使う以上、出てくる答えは「60枚デッキのなかに『カードを引くためのトレーナーズ』が○○枚のとき、少なくとも1枚それが初手に来る確率は××%である」こんな感じになります。このときの初手は、手札の7枚+初ターンのドローを含めて、8枚ということにしておきましょう。
計算はシンプルに済ませるために、「組み合わせ」なるものを使います。高校1年生あたりで習う分野ですね。今回の計算では、初手に0枚だと困る=少なくとも1枚引ければいいので、初手に0枚の確率を計算したあと、それを1から引けば求める答えが得られます(DiaryNoteだと上手く数式が書けないので、数式は省略します)。
数学を愛する方々に怒られてしまいそうですが(汗)、さっそく答えを出してしまいます。とはいえせっかくの機会なので、1枚から15枚までの場合の確率をそれぞれ出してみましょう。
左はデッキ内の枚数。右は上記の場合の確率です(単位はパーセント)。
1…… 13.33333333
2…… 25.08474576
3…… 35.41788428
4…… 44.48204087
5…… 52.41317789
6…… 59.33489747
7…… 65.3593571
8…… 70.58813339
9…… 75.11303594
10…… 79.01687344
11…… 82.37417369
12…… 85.25185962
13…… 87.70988302
14…… 89.80181782
15…… 91.57541472
ここまで来れば、もう答えは手に入ったようなものです。前回のコラムで問題になっていたのは、デッキ内に「カードを引くためのトレーナーズ」がそれぞれ8枚、10枚、12枚の場合でした。それぞれ上に当てはめてみましょう。
デッキ内に8枚の場合、初手に少なくとも1枚引く確率は、およそ70.6%
同じく10枚の場合、確率はおよそ79%
12枚の場合、確率はおよそ85.3%
70.6%というのは、10ゲームのうち3ゲームは「カードを引くためのトレーナーズ」が初手に0枚だ、ということを示しています。クリーチャーズのコラムでも、「カードを引くためのトレーナーズ」がデッキに8枚なのはちょっと少ない、と言っていました。こうして数字を見ると、なるほど納得という感じがします。
では、79%、つまりデッキ内に10枚ならばどうでしょう。
79%は、5ゲームのうち4ゲームは、「カードを引くためのトレーナーズ」をうまく初手に引けることを示しています。5回対戦すれば1ゲームは悲しい目に遭いそうですが、残りの4ゲームはうまく戦えそうです。なんだか許せる感じ。
では12枚なら。確率は85.3%。かなり高くなってきました。20回対戦したら、そのうち17回は良い初手が引けそうです。カードゲットバトルで1日遊んでも、かなりの成績が期待できそうですね。
こう見てみると、「カードを引くためのトレーナーズ」がデッキに8枚では、ちょっと心許ない気がします。10枚では……うーん。できればもうちょっとほしい。12枚ならうまくやれそうです。前回紹介したコラムの中のレシラムとエンブオーのデッキは、ちゃんと考えたうえで、その枚数を入れていたんですね。
上の確率一覧とにらめっこしてみると、だいたい13~14枚くらいが一番良い枚数かな、という気がしてきます。8枚や10枚ではさすがにちょっと少ないかもしれません。というのは、初手に持っていた「カードを引くためのトレーナーズ」を使ったところで、次の「カードを引くためのトレーナーズ」が引ける確率は100%ではないからです。前回の結論部分でたどり着いたように、「カードを引くためのトレーナーズ」は次の「カードを引くためのトレーナーズ」を引けなければ意味がないですからね。おおよそ12枚を超えるくらいが目安かなという感じがします。
さて、今回のコラムでは、前回コラムの結論にほとんど答えが出てしまいました。しかしここに来るまで3本のコラムを費やしたわりに、実は「カードを引くためのトレーナーズ」、つまりはアララギ博士やチェレン、そしてオーキド博士の新理論といった、一連のサポートたちしか扱えていないのです。そして言うまでもなく、DP~BWにかけてのデッキは、サポート(旧サポーター)だけで回っているわけではありませんでした。
みんな大好きピィは? 旧環境最強のドロー、ネンドールは?
そろそろ手を伸ばしてみるべきでしょう。カードを引くためのカードは、もちろんトレーナーズだけではありません。
ここまでの結論から、それらの「カードを引くためのポケモン」はどう扱えばいいんでしょうか。「カードを引くためのポケモン」にはどんなメリットとデメリットがあるんでしょうか。次回はようやく、「DP~BW構築で何が変わったか?」の本編に踏み込んでいきましょう。「こんなの知ってるよ」と眠い目をこすっていた中級者以上の方々にも、そろそろ「おっ」と言ってもらえたらいい……かな。
次回に続きます。
第2回:http://sipcup.diarynote.jp/201101151402365818/)
前々回、そして前回とクリーチャーズによるコラムを読み込んできて、次のことがわかりました。
クリーチャーズによるコラムは、あんまり読み手に優しくない。
ではなく。
ポケカのデッキ構築において一番重要なのは「カードを引くためのトレーナーズ」である、と。そして「カードを引くためのトレーナーズ」は、初手に引かなければならない。今回の問題はその先です。
サンプルデッキ中の10枚や12枚といった枚数では、ちゃんと初手に引くことができるんだろうか? そもそも「カードを引くためのトレーナーズ」は、何枚入れておけば「初手」に引けるんだろうか?
前回の最後では、その計算のために確率を使うことを予告しました。頭の痛くなる話です。他に方法はないんでしょうか。……たぶん、あったらクリーチャーズのコラムが紹介してくれることでしょう。
今回は話の真ん中はすっ飛ばしてもらってかまいません。結論部分さえあれば、次回のコラムにちゃんと続きます。
さて、話を始める前に、まずは問題点を整理しましょう。確率を使う以上、出てくる答えは「60枚デッキのなかに『カードを引くためのトレーナーズ』が○○枚のとき、少なくとも1枚それが初手に来る確率は××%である」こんな感じになります。このときの初手は、手札の7枚+初ターンのドローを含めて、8枚ということにしておきましょう。
計算はシンプルに済ませるために、「組み合わせ」なるものを使います。高校1年生あたりで習う分野ですね。今回の計算では、初手に0枚だと困る=少なくとも1枚引ければいいので、初手に0枚の確率を計算したあと、それを1から引けば求める答えが得られます(DiaryNoteだと上手く数式が書けないので、数式は省略します)。
数学を愛する方々に怒られてしまいそうですが(汗)、さっそく答えを出してしまいます。とはいえせっかくの機会なので、1枚から15枚までの場合の確率をそれぞれ出してみましょう。
左はデッキ内の枚数。右は上記の場合の確率です(単位はパーセント)。
1…… 13.33333333
2…… 25.08474576
3…… 35.41788428
4…… 44.48204087
5…… 52.41317789
6…… 59.33489747
7…… 65.3593571
8…… 70.58813339
9…… 75.11303594
10…… 79.01687344
11…… 82.37417369
12…… 85.25185962
13…… 87.70988302
14…… 89.80181782
15…… 91.57541472
ここまで来れば、もう答えは手に入ったようなものです。前回のコラムで問題になっていたのは、デッキ内に「カードを引くためのトレーナーズ」がそれぞれ8枚、10枚、12枚の場合でした。それぞれ上に当てはめてみましょう。
デッキ内に8枚の場合、初手に少なくとも1枚引く確率は、およそ70.6%
同じく10枚の場合、確率はおよそ79%
12枚の場合、確率はおよそ85.3%
70.6%というのは、10ゲームのうち3ゲームは「カードを引くためのトレーナーズ」が初手に0枚だ、ということを示しています。クリーチャーズのコラムでも、「カードを引くためのトレーナーズ」がデッキに8枚なのはちょっと少ない、と言っていました。こうして数字を見ると、なるほど納得という感じがします。
では、79%、つまりデッキ内に10枚ならばどうでしょう。
79%は、5ゲームのうち4ゲームは、「カードを引くためのトレーナーズ」をうまく初手に引けることを示しています。5回対戦すれば1ゲームは悲しい目に遭いそうですが、残りの4ゲームはうまく戦えそうです。なんだか許せる感じ。
では12枚なら。確率は85.3%。かなり高くなってきました。20回対戦したら、そのうち17回は良い初手が引けそうです。カードゲットバトルで1日遊んでも、かなりの成績が期待できそうですね。
こう見てみると、「カードを引くためのトレーナーズ」がデッキに8枚では、ちょっと心許ない気がします。10枚では……うーん。できればもうちょっとほしい。12枚ならうまくやれそうです。前回紹介したコラムの中のレシラムとエンブオーのデッキは、ちゃんと考えたうえで、その枚数を入れていたんですね。
上の確率一覧とにらめっこしてみると、だいたい13~14枚くらいが一番良い枚数かな、という気がしてきます。8枚や10枚ではさすがにちょっと少ないかもしれません。というのは、初手に持っていた「カードを引くためのトレーナーズ」を使ったところで、次の「カードを引くためのトレーナーズ」が引ける確率は100%ではないからです。前回の結論部分でたどり着いたように、「カードを引くためのトレーナーズ」は次の「カードを引くためのトレーナーズ」を引けなければ意味がないですからね。おおよそ12枚を超えるくらいが目安かなという感じがします。
さて、今回のコラムでは、前回コラムの結論にほとんど答えが出てしまいました。しかしここに来るまで3本のコラムを費やしたわりに、実は「カードを引くためのトレーナーズ」、つまりはアララギ博士やチェレン、そしてオーキド博士の新理論といった、一連のサポートたちしか扱えていないのです。そして言うまでもなく、DP~BWにかけてのデッキは、サポート(旧サポーター)だけで回っているわけではありませんでした。
みんな大好きピィは? 旧環境最強のドロー、ネンドールは?
そろそろ手を伸ばしてみるべきでしょう。カードを引くためのカードは、もちろんトレーナーズだけではありません。
ここまでの結論から、それらの「カードを引くためのポケモン」はどう扱えばいいんでしょうか。「カードを引くためのポケモン」にはどんなメリットとデメリットがあるんでしょうか。次回はようやく、「DP~BW構築で何が変わったか?」の本編に踏み込んでいきましょう。「こんなの知ってるよ」と眠い目をこすっていた中級者以上の方々にも、そろそろ「おっ」と言ってもらえたらいい……かな。
次回に続きます。
コメント
老婆心ながら、初手7枚に必ず「たね」ポケモンが1枚以上
なければならないので、本当の確率は変わりますね。
ご指摘ありがとうございます。初手のたねポケモンのことなどを考慮に入れると、実際はもう少し低くなりますね。
そしてプレイヤーに引き運がない場合も、もう少し低くなります……。
ということは自分には14,5枚必要ということですね。
確かに、回らないはずだ。( ..)φメモメモ
次回も期待しています。
お読みいただきありがとうございます。ピィやキュウコンなどが絡んでくるとこの枚数が一概に正しいというわけではないのですが、そのあたりは次回書けたらと思っています。
平日になってしまうとなかなか時間が取れないのですが、できるだけ早く……。
>>クーポソさん
手札を増やしたいときと、何か特定のカードがほしいときでトレーナーズの使い方も変わってくるので難しいですね。どのトレーナーズを入れるかも、ポケモンの種類や戦い方によって違ってくると思います。
>>i.fさん
初手にサポーターが来る確率は、おおよそこのエントリの確率一覧のとおりです。
確かに運は重要ですが、デッキ構築はいくらでも改善の余地が出てくるものなので、運が悪いと片付けるよりは、デッキの構築の方が僕は重要だと考えています。